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ホームページ制作やWebデザインにおける著作権と気をつけること
ホームページ制作やWebデザインをする際にとくに気をつけたいのが著作権です。
著作権を理解せずにホームページ制作をしてしまうと、最悪の場合、多額の賠償金を支払わなければいけなくなることも。
そこで今回は、ホームページ制作やWebデザインにおける著作権とはどのような権利なのか、について解説します。
著作権侵害してしまった際の対処法や、著作権侵害を防ぐために気をつけるべきことについても詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそも著作権とは何か
そもそも著作権とは何なのか、著作権の基本について簡単に説明していきます。
著作権について
著作権とは知的財産権のひとつで、「著作物」を創作した「著作者」に発生する権利のことです。
著作者が著作物を創作した時点で著作権は発生します。
著作物は、思いや感情を創作的に表現したもののことで、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいいます。
つまり、創作的に表現したものであれば、小説や論文、音楽、絵画、映画、写真など、さまざまなものが著作物に該当します。
年齢も関係ありません。
著作権には、「著作権(財産権)」と「著作者人格権」の大きく2つの種類があります。
・著作者人格権:著作者の人格を守るための権利。譲渡できない。
日本では、著作物を正しく使用できるように「著作権法」という法律で著作権が守られています。
著作者に無断で著作物を使用することは法律で禁止されていますが、著作者に許可を得られれば、著作物を使用できます。
ただし、以下の場合のみ著作者の許可なく著作物を使用可能です。
・図書館等における複製
・引用
著作権を所有するのは誰か
著作権を所有するのは、著作物を創作した人です。
著作権の保護期間は原則、著作物を創作した時点から著作者の死後50年までとされています。
つまり、著作者が死亡してしまった際、死後50年経つと著作権は消滅してしまうのです。
ただし、著作者の死亡日が不明な場合は、著作物の公表後50年とされています。
第3者が著作物を使用する際は、著作者の承諾が必要になります。
著作権を侵害するとどうなるのか
著作物を無断で使用した場合や複製した場合「著作権侵害」となり、著作者に請求されることで罰則を受けます。
また、著作物の使用許可をとっていても、著作者の許可なく内容や名前を変更した場合「著作者人格侵害」となり、これも罰則の対象となります。
著作権侵害された際、著作者は以下のような請求ができます。
・損害賠償請求
・名誉回復措置請求
・刑事罰
刑事罰を受ける際の罰則は、以下のように定められています。
・著作者人格侵害:5年以下の懲役または500万円以下の罰金
※懲役刑と罰金刑は併科可能です。
著作権を侵害してしまった際の代償は大きいです。
ですから、著作権を侵害しないように、気をつけなければいけません。
ホームページの著作権は誰が持っているのか
著作権は、基本的に製作者がもつことになっています。
ですが、ホームページ制作においては、ホームページの持ち主(サイト運営者)が著作権を持つことが多いです。
なぜなら、ホームページ制作ではWeb制作会社やWebデザイナーに外注する場合が多いからです。
場合によっては、著作権を譲渡したくないという外注先もあるため、契約時に確認しましょう。
ホームページのコンテンツで著作権が発生するもの
ホームページは、さまざまなコンテンツの集まりでできています。
ですが、コンテンツごとに著作者が変わってきます。
ですから、コンテンツごとの著作者を理解し、ただしく使用しなければいけません。
ここでは、
① 画像(写真・イラスト・動画)
② 音楽や効果音
③ 文章やキャッチコピー
④ ホームページ全体のデザイン
以上4つのコンテンツにおいての著作権について、詳しく説明します。
① 画像(写真・イラスト・動画)
ホームページ制作において、ほとんどのホームページに画像(写真・イラスト・動画)を使用するでしょう。ですが、ネットにのっている画像のほとんどが著作物であり、勝手に保存、使用することは禁止されています。
画像をすべて自分で作成するのがもっとも安全ですが、なかなか難しいですよね。
ホームページに掲載する写真やイラスト、動画などは、誰が作ったか(撮影したか)で著作権が決まります。著作物の出どころをしっかり確認し、正しく使用しましょう。
② 音楽や効果音
音楽や効果音を取り入れているホームページもあります。音楽や効果音は、編集者・作曲者が著作権を所有しています。
ホームページ制作で音楽や効果音を使用する際は、フリー素材を用いる方が多いと思います。フリー素材を使用する際は、提供するサイトで著作権に関する規則をしっかり確認してから使用しましょう。
③ 文章やキャッチコピー
ホームページでは、他サイトの文章を引用したり使用したりすることもあります。
ホームページ制作における文章は、基本的には文章を作成した者が著作権を所有します。
ただし、簡単なキャッチコピーや日常で使われる言葉など、短い文章は著作物には該当せず、著作権の対象外になります。場合によっては著作物と認められる場合もあるため、著作物ではないか確認してから使用すると安心です。
④ ホームページ全体のデザイン
ホームページのデザインも著作物になります。ホームページ全体のデザインは、ホームページの作成者(デザインした者)が著作者になります。
しかし、ホームページのデザインをすべて手作りするのではなく、素材を集めてくる人が多いでしょう。
フリー素材ではない場合は、素材一つ一つが著作物であり著作権が発生していますので、考えて素材選びをしなければいけません。ただし、レイアウトや配色などには基本的に著作権は生じません。
著作権侵害してしまっていたらどうすればいいのか
著作物を無意識に使用してしまった場合には、速やかに正しい対処をしなければいけません。
自分で著作権侵害に気づいた場合や、著作物の所有者に指摘されて気づいた場合、どう対処したらいいのかについて説明します。
著作権侵害してしまった場合の対処法
著作権を侵害してしまったことに自分で気づいた場合は、まずは著作物を削除、または非公開にし、第3者に見られないようにしましょう。その後、その部分をこれからどうするかを決めます。
著作物をほかのフリー素材に変更可能な場合は変更し、著作物の使用を続けたい場合は著作者が誰なのかを確認し、使用の許可をとりましょう。
著作物の所有者に指摘された場合の対処法
著作物の所有者に指摘された場合は、まずは著作者に謝罪をし、速やかに事実確認をしましょう。
確認事項はこちらです。
・どの部分が著作権侵害にあたっているのか
・著作権の所有者はだれなのか
事実確認の結果、著作権侵害にあたっていた場合は、どうするべきか話し合う必要があります。
著作者に「契約を交わすことで今後使用してもいい」と言われた場合は、契約を交わしましょう。もし、著作者に「著作権侵害により法的処置をとらせてもらう」と言われた場合は、弁護士などの専門家に相談し、適切に対処しましょう。
どちらにせよ、速やかに対処するのが大切です。
放置してしまったり連絡が遅くなってしまうと、刑事告訴される可能性が高まり、賠償金も大きくなる可能性があります。
著作権侵害しないために気をつけること
ホームページ制作をする際は、著作権侵害にならないために以下の4点をとくに意識しましょう。
① 著作権フリーの素材を使用する
② 正しく引用する
③ ライセンス契約を交わす
④ 著作権譲渡契約を交わす
① 著作権フリーの素材を使用する
各コンテンツにおいて著作権が不安な方は、フリー素材を使用しましょう。
インターネット上には、画像や音楽など、さまざまなコンテンツのフリー素材サイトが存在しています。フリー素材サイトに掲載されているものは基本的には著作権フリーのものばかりなので、無料、または有料で安心して使用できます。
ただし、すべての素材が完全な著作権フリーというわけではありません。よく見てみると「商用不可」と記載されている場合があります。また、商用不可でなくても、使用目的や加工の有無によっては著作権侵害にあたる場合があります。
使用する前に各サイトで著作権についての項目をしっかり確認してから、規約の範囲内で使用しましょう。
② 正しく引用する
ネット上の画像や文章などの著作物を無断で使用してはいけません。
ですが、すでに公開されている著作物に限っては、正しく引用することで著作者からの承諾がなくてもサイトに掲載できます。
正しく引用することで、サイトの信ぴょう性が高まり、より多くの人に見てもらうきっかけにもなるので、引用を取り入れるのは有効的です。
引用する際のルール
・タイトルやURLなど、出どころを明らかにする
・引用部分はそのまま掲載する
引用ルールを守らずに引用してしまうと
・信用が低下する
・SEOの評価が下がる
・最悪の場合訴訟提起される
など、トラブルにつながってしまいます。
また、引用はあくまでも文章などのコンテンツの一部を公開することであり、コンテンツ全てを引用する際は「転載」となってしまいます。転載の場合は著作者からの承諾が必要となりますので、気をつけましょう。
③ ライセンス契約を交わす
他人が著作物を使用する際は、著作者と「ライセンス契約」を交わすのが一般的です。
ライセンス契約とは、他人が著作権等の知的財産を使用することを承諾する権利のことをいいます。ライセンス契約を交わすことで、著作者との契約の範囲内で著作物を使用可能になります。
ライセンス契約を交わした際は、あくまで使用可能になるだけなので、著作権そのものは著作者にあります。したがって、著作者から許可を得た部分のみ使用可能になり、著作物を自由に使用できるわけではありません。
トラブルにならないためにも、どれくらいの範囲で使用可能なのか、しっかり確認して契約書を交わしましょう。
一般的なライセンス契約書に記載する事項
・第2条 実施許諾
・第3条 ライセンス料と支払い方法
・第4条 権利維持
・第5条 報告義務
・第6条 帳簿の保管と監査
・第7条 表示義務
・第8条 契約期間
・第9条 解除、解約
・第10条 譲渡の禁止
・第11条 合意管轄
④ 著作権譲渡契約を交わす
著作者が著作物を譲渡可能な場合は、「著作物譲渡契約」を交わしましょう。著作物譲渡契約を交わすことで、著作権全部、または著作権の一部を譲渡可能になります。
一度著作権を渡してしまったら、もとの著作者は著作物の使用ができなくなりますので、よく考えてから契約書を交わしましょう。
一般的な著作権譲渡契約書に記載する事項
・第2条 著作権譲渡の範囲
・第3条 データの引渡し
・第4条 著作者人格権の不行使
・第5条 保証
・第6条 譲渡代金と支払時期
・第7条 契約解除
・第8条 損害賠償
・第9条 反社会的勢力の排除
・第10条 著作権譲渡の登録
・第11条 合意管轄
まとめ
今回は、ホームページ制作やWebデザインにおける著作権について解説しました。
- ・著作権とは知的財産権のひとつで、著作物を創作した著作者に発生する権利のことをいいます。
- ・ホームページ制作では、画像(写真・イラスト・動画)、音楽や効果音、文章やキャッチフレーズ、ホームページのデザイン、タグなどに著作権が発生します。
- ・著作権を侵害してしまうと、最悪の場合10年以下の懲役または1000万円以下の罰金を払わなければなりません。
- ・著作権を侵害してしまったことに気づいたら、速やかに対処します。
- ・著作権を侵害しないために、フリー素材を使用したり、正しく引用・契約書を交わす必要があります。
日ごろニュースを見ていると、たびたび著作権侵害で大きな問題になることがありますよね。
著作権を侵害してしまうと、たくさんのものを失ってしまいます。
ホームページや会社を守れるのは自分自身。ホームページ制作における各コンテンツの著作権をしっかり理解し、トラブルを未然に防ぎましょう。